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2010年12月3日金曜日

同居のひとびと

 ここに入って同じ房の同居人は3人。
 一人は私が入る3日前に、酒に酔って公務執行妨害で逮捕された同い年の内装屋さん。彼は一週間ほどで、略式起訴されて30万の罰金を払い釈放となりました。
 その3日後に入ってきたのは、三軒茶屋でスナックを25年経営しているという、60歳のオーナー。スナックでホステスを客の席に同席させていたことが、風営法に違反しているということで、突然5,6人の刑事にふみこまれ、その場で逮捕されたとのこと。痩せ形でロマンスグレーの髪をした、穏やかな口調の紳士で、ゴルフはシングルという、留置場にいることが全く似合わない方でした。
 この人も弁護士を頼み、拘留延長されて10日ほど居ましたが、略式裁判の罰金刑で釈放されました。
 仕事の事や家のことなど、結構いろいろ話をして、これからのことを相談にのってもらったりしていました。
 釈放になる日の朝、運動の時間にタバコを吸いながら、「きっとここを出たら、最初にSさんの店に行くから。」と言うと、「そうそう、その位明るく考えなきゃ。」と、穏やかに微笑みながら言ってくれました。
 もう一人は、38歳のヒゲの濃いコロンビア人で、私が入る1ヶ月前に窃盗容疑で逮捕され、去年の暮れに、出稼ぎのために初めて日本に来て、全く日本語は話せず、母国語もスペイン語のために、私と同じでいい加減な英語を少し話せる程度でした。
 私との会話は、日本人が旅行先で使うための、小さなスペイン語ガイドブックを使いながら、ちぐはぐな英語で話していたので、初めはお互いに分かっているのかわかっていないのか、ちんぷんかんぷんでしたが、3,4日たつとなんとなく言おうとしてることがわかってきて、そのうち、冗談も言うようになりました。
 彼は熱心なクリスチャンらしく、いつも聖書を読み、朝昼晩と聖書の文章を唱えて祈りをかかしませんでした。
 私が釈放された後も、この先どうなるのか全く見えていない状態でしたので、今どうしているのかわかりません。家族にも、逮捕後は全く連絡がとれていないようでしたので、私が釈放されてから彼の家族に2,3度国際電話をかけたのですが、家族はスペイン語しか話せないため、程度の低い英語で話してもよくわからない様子でした。
 私が釈放される朝、彼は私に泣きながら、「Don't worry,Be happy.」と、私が彼に教えた言葉を言って見送ってくれました。

 

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