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2011年5月2日月曜日

武田邦彦教授のブログから

決まっています。 汚染土の捨て場

福島県を中心として「汚染された場所の洗浄と、表土の除去」が始まっています。

手をこまねいていれば30年は汚染された土地で生活しなければならず、それは子供達の人生そのものになってしまいます。

しかし、「なぜ、汚染されているのか」というと、「そこに放射性物質(粒)があるからだ」ということですから、とにかく早い内に除去することです.

「綺麗な福島大作戦」が郡山から始まったようですが、早速、「汚染された土をどこに捨てるか」が問題になっているようです。

「校庭の表土は汚染されているから、持ってきては困る」という住民の反応も理解できますが、だからといって誰でもいやがる汚染された土の上で、児童が運動して良いということではありません.

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もちろん、汚染された土は福島原発に返すのです。臨時にどこかにおくのも良いですが、最終的には福島原発に持っていくのが理の当然です。

ある家庭で、間違って汚いものをご近所にまき散らしたとします。ご近所の人はそれを集めて、汚いものを撒き散らした家庭に持っていくでしょう。

つまり人間にはたまに間違えがありますが、間違えた人がそれを始末するのが常識で、汚いものをご近所に撒き散らしておいて知らない顔をしているというのは全くおかしなことなのです。

そしてご近所の人が、撒き散らした汚いものを持ってきたからといって引き取りませんというのも常識外れです。

今度の福島原発の事件というのは、「東京電力という人が所有している福島原発」から汚いものが東北関東に撒き散らされた事件ですから、当然その引き取り手は福島原発なのです。

もし、東京電力が「汚れているものだけ持ってきてくれ」というのもおかしな話で、例えば、瓦れきと放射性物質を分けることが難しければ、瓦れきのまま持っていけば良いのです。

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東京電力は大きな会社ですが、私企業であることは間違いありません。私企業が失敗したことを、政府は必死になって国民にそのツケをまわそうとしています。

政府は、早く福島を綺麗にしなければなりませんし、環境省は福島で汚れた瓦れきを川崎市、愛知県等に持ち込もうとしていますが、もし瓦れきを持ち込むなら東京電力が綺麗にしてそれを持ち込むべきです。

ここで「綺麗にする」というのは規制値以下にするのではなく、放射性物質自体を全部取りさるということを意味しています。

奇妙な議論に巻き込まれず、福島をできるだけ早く綺麗にし、その過程で出てくる汚染されたものは、全て福島原発に返すべきです。

(平成23年5月1日 午後9時 執筆)


福島の30年

福島は今、文科省の1年20ミリシーベルトの基準で動いている.これは何を意味するか、これからの30年を描画してみる.

最後の判断をするのは福島の人だが、参考にしていただきたい。

1)人体への影響
放射線は被曝する量に比例してガンが発生する.セシウムの半減期は30年だが、土壌が流れたりするので、それを10年としても、今から10年は他県より普通の状態より増えるガンが20倍、次の10年は10倍になるだろう.
福島は「若年層ガン多発県」になる。
福島の人には言いにくいし、申し訳ないが、これは科学的事実である.今、言いにくいからといって耳障りの良いことを言っても、そのうち事実となって現れる.
そしてこのデータは「武田説」ではなく、国際的にも国内的にも多くの専門家が認めているデータである。

2)産業への打撃
国際的に1年に1ミリと決めているのは、外国旅行をしたり、安心して外国の食材や工業製品を買えるためである.
従って、これも福島に悪いけれど、今後、30年は福島には観光客は来ないだろう。福島の食材は買う人がいないだろう。そして外国の企業は従業員が赴任を拒否するし、サッカーも国際試合はできない。
福島は日本の孤島となり、そこで仕事ができるかも不安が残る。

3)解決策
唯一の解決策がある。それは郡山市の小学校が表土を除いただけで、1時間3.2マイクロシーベルトが0.5マイクロシーベルトに下がった。つまり放射線は福島の大地に落ちている「粒」から来ているので、それを除くだけでよい.
梅雨の前に洗浄してしまえば、福島は綺麗になる.20ミリまで安心だというのは政府が福島にお金も人も出したくないからで、福島を綺麗にしないと福島の子供達の将来が心配だ。
よく考えれば、「福島の復興は福島を綺麗にすること」であることは当然だ。
削り取った表土は福島原発に返す.

「1年1ミリシーベルト」は国際的な約束である。またヨーロッパは1年0.1ミリシーベルトを主張している.

今、20ミリで良いと言っている専門家は、絶対に国際会議で時代に逆行する20ミリを認めさせる力は無い.「田舎としての日本」だけで通用する話だ。

だから、20ミリまで大丈夫ということは、健康上も問題であり、さらに将来の福島を失うことを意味している.

私は福島の人の決断に期待している.私は福島に安心して旅行したいし、綺麗になったらどんどん食材を買いたい。

だから綺麗になることを期待している.

(平成23年5月1日 午後9時 執筆)


新聞記者、専門家など情報発信者に自制を促す

先日、あるテレビで、1年100ミリまで大丈夫という男性の医師や、女性の大学教授を全面に出して、「被曝は問題ない」と強調していました。

また、大新聞が大きな記事で、「1年間100ミリでも発がんはたいした事はない」と書いていました。

このような放送や記事があると、「どこまで安全なのか判らない」と不安になるのは当然でしょう.

・・・・・・・・・類似のこと・・・・・・・

あるテレビで、出来たばかりの高速道路の紹介があったとします。素晴らしい道路で、直線、見通しも抜群です.

でも、制限速度は時速100キロになっています。

そこで、アナウンサーが、

「素晴らしい道路ですね。こんな道路なら時速200キロでも大丈夫ですね」

と言い、傍にいた自動車愛好家が、

「そうです、私は300キロまで出しました」

と放送したとすると、もちろん「反社会的な報道」ということになるでしょう。

確かに、その道路は時速200キロ、もしくは自動車の運転が上手い人なら300キロまで大丈夫かも知れません.

でも、人の命に関わることですから、時速100キロと決まっていたら、100キロと言うのが正しく、100歩譲っても、

「この道路は、時速100キロですから、それ以上は速度違反です」

と言わなければならないでしょう.

つまり、法律や規則がなければ、自由に言っても良いのですが、制限速度が決まっていれば、それに触れるのが常識です.

・・・・・・・・・

こんな当たり前のこと(法律がある場合は、それに触れずに個人的な判断だけを言うのはルール違反)が、福島原発事故では無視されています.

1.法律で決まっている「クリアランス・レベル」
原発や放射性廃棄物などで汚れたものは、クリアランス・レベルを下回らないと移動できない。違反すると1年以下の懲役。
線量は1年に20マイクロシーベルトで、1年1ミリの限度の50分の1。文科省所管の法律。
川崎市、愛知県の瓦礫の引き取りは法律違反で市長と知事は懲役1年未満になる可能性がある。

2.原発など放射線を発する施設の境界は1年50マイクロシーベルトまで(自主規制)、

3.言わずと知れた「一般人1年に1ミリが限度」の法律(数が多い)・・・道路の制限速度のようなもの、

4.職業人の「1年に20ミリ」の法律(数が多い)・・・成人男子、職業として、健康診断ありなどの制限のもとで許される。

これだけ法律があるのに、NHK、大新聞などは法律があることすら触れずに「100ミリまで安全」などという専門家を出して、「被曝しても大丈夫」という宣伝をしている。

自由な意見を認めるとしても、最低でも「法律では1年1ミリになっています」、「この道路は200キロでも大丈夫かも知れませんが、制限速度は100キロです」と言うべきでしょう.

自制を求めます。

(平成23年5月2日 午前11時 執筆)

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