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2011年6月19日日曜日

武田邦彦先生に茨城県の放射能のことをきいてみました

武田邦彦教授のブログより


厳しい問題・・・茨城産の農作物は安全か?



読者の方から次のようなメールをいただきました。
「はじめまして。失礼覚悟でメールをおくります。
今すぐ削除してほしい記事があります。これです↓
■科学者の日記110520  哀しい茶葉の検査拒否
茨城県では農作物、畜産物、水産物まで真面目に検査されています。このページを参考にしてください。http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/nousanbutsu/index.html
いい加減な情報を流して、茨城産のさまざまな食物の評判が悪くなったら、本当に困ります。
あなたは生産者への思いやりがなさすぎます。
茨城では、本当に問題がある食物を出荷したりなんかしません。
そんなことをしたら自分で自分の首を絞めることぐらいわかりますから。
とにかくこれ以上茨城産のイメージを悪くしないでください!!」
・・・・・・・・・
このメールを読んでわたくしは、真面目な生産者も、困っているお母さんも、ともに被害者なのだから前向きに行きたいと思いました。
テレビはまだ、福島原発の何号機がどうのと言っていますが、わたくしたちは生活を守っていかなければなりません。守るのは一つは生産であり、一つは子供たちです。
早速、茨城県の農作物のチェック状況を見ていました。
茨城県の広報の上から順に見ていきますとまずホウレンソウが出てきます。タイトルが
「北茨城市及び高萩市のホウレンソウに対する原子力災害対策本部長からの指示の解除に向けた検査(1回目)の結果について」
というもので、これが県の広報か(不親切!!)と驚いてしまいます。
1に文章がよくわかりません。
「原子力災害対策本部長からの指示の解除」と書いてあります。まずこれを理解するには、茨城県のホウレンソウを買う前に、「原子力災害対策本部長からの指示」というの読んでみなければなりません。
それを理解すると「指示の解除」という意味が多少は理解できるでしょう。
でも、お母さんにはその時間はありません。
さらに先に進むと、次のようなぶっきらぼーな表が出てきます。

どうやら3月時点では、汚染されていたが、5月の検査では大丈夫だということを示しているようですけれども、単に「検出せず」と書いてあるだけで、何ベクレルなのかはわかりません。
これをお母さんが買うかどうかを決めるためには、検出限界を調べなければならず、そんな時間はありません。
またホウレンソウについては、測定するときに「綺麗に洗ってください」という指示が国から出ているので、お母さんにとってはどのくらい洗えばよいのかわかりません。
徹底的に洗えば放射性物質は落ちますから。それで測定されたら常に検出以下になりますから、買う決断ができません。
「お上を信じなさい」という意味でしょうが、「お上」は最初から「何も心配ない、健康に影響がない」と言い続けてるわけですから、別段こんな表を出していただかなくても、お上を信用するなら直ちにホウレンソウを買えるからです。
ところが、健康に影響ないとあれだけ繰り返していたのに、ホウレンソウを出荷停止にしたのですから、信じろというのが無理です.
茨城産のホウレンソウは当面、買うことが出来ません。
・・・・・・
次の茶葉ですが、これも表が出ています.

こちらの方は表示の仕方も若干、良心的ですが、結果は規制値を超えているので出荷が控えられています。
しかし、規制値は、セシウムでキログラムあたり500ベクレルと決まっているものの、放射性ヨウ素は規制値がありません。どんなに多くの放射性ヨウ素がついていても出荷されます。
これではお母さんは安心して買い物をすることができません。
お母さんは安心できないけれども、県や生産者は安心しているというのはどういうことか?
県や生産者は別段お茶を飲む人の健康考えているわけではないからと思われます。単に国が決めた基準がセシウムはあるけれども、ヨウ素がないというだけで、必要はないと考えているのです。
幸い現在はヨウ素は検出されていませんが、そのうちヨウ素が検出されても、「それは基準にないから」ということで出荷されるでしょう。
それでは危なくて、茨城産のお茶の葉は買えません。
・・・・・・・・・
次に魚です。この表には「浮魚」とあります。

浮魚というのは、おそらく海の表面の魚のことでしょう(私は調べられますが、お母さんはその時間がありません.ここで「浮魚」などという専門用語を使う理由は、漁業関係者では常識だから、消費者は判らなくても良いということと思います)。
海の表面にいる魚なら、ヨウ素とセシウムで良いのかも知れないのですが、次の表は「底魚」というものだから、海の底でしょう.

驚くべきことに「ストロンチウム」の測定値がありません。
今回の福島原発では、大量の放射線を持つ水が海水に放出されました。その中にはストロンチウムとプルトニウムが相当含まれていると考えられます。
その分析値も東電から発表されていません。
ストロンチウムは魚の体の中に入り、骨に取り込まれ、その魚を食べた人間が骨にストロンチウムがたまって、白血病になります。
だから、魚が安全だというのなら、まずストロンチウムを測定しなければいけません。特にストロンチウムは比重が大きいので、海の底にたまっていると考えられます。
従って、海の底から取れる魚は必ずストロンチウム、プルトニウムが必要です。この表も実にとぼけた表なのです。
つまり、この表の意味するところは、「政府の指示で決まっている元素を図ればいいのだから」ということで、魚を食べる人のことなど考えてはいないということです。
これではお母さんは茨城産の魚を買うことができません。
・・・・・・・・・
なぜ真面目な生産者も、困っているお母さんも、日本の食材を安心して買えないのでしょうか?
生産者も騙されているのです.
ここでそのことがはっきりわかったと思います。つまり、農作物の放射性物質を図っている件は、ただ測っているだけで、何も考えていないのです。
おそらく県にそのことをいうと、「わたくしたちは放射性物質について、何もわからないので、国のいうことに従わざるをえないのです」との答えが返ってくるでしょう。
それはお母さんにとってとても困ることなのです。お母さんは毎日子供のためにできるだけ安全な食材を探しています。
どうも最近、スーパーで産地偽装があるとの読者の連絡が多くなってきました。また特定の地方の野菜の仕入れ値段が安いので、それだけを並べているというのもあります。その中で困っているお母さんが目に浮かばないのでしょうか?
食材は本当に親身に考えてくれたものなければいけません。お茶の葉っぱにヨウ素の規定がないからヨウ素は測っていませんとか、魚の骨ではストロンチウムが危ないことはわかっているんだけれども、分析値を出していませんというのでは、危険ということと同じことなのです。
・・・・・・・・・
わたくしは静岡産のお茶を買わない方がいいとブログに書きました。そんなことを書くと反撃が厳しいことは知っています.
でも、検査を拒否するということ自体、すでに汚染を認めているということになるからです。それではお母さんは買えません。
食材は特に信頼性が大切です。そして、茨城県の発表は極めて不親切で、ただ測ったことをそのまま書けばよい、読んだ人が忙しい毎日の中で食材を選ぶことができなくてもよいと思っているような気がします.
・・・・・・・・・
さらに、ここでは詳しく述べることができませんが、例えば福島のお子さんは、外部被曝だけでほとんど1年に20ミリシーベルトという過酷な条件下にいます。
だから他の食材が規制値以下だからといって、放射性物質の入った食材を食べさせるわけにはいかないのです。
それでは、「誰が福島県のお子さんが、外部からの放射線、校庭で遊んだ時に受ける土煙の内部被曝、水、牛乳、ホウレンソウ、お茶、魚、それら全部を計算して、「子供は安全だ」という表を出している」のでしょうか?
それぞれが自分のところは大丈夫だというだけで、その被害は子供たちに及ぶのです.
子供達の健康を心配するお母さんは、茨城県の食材を買うのは危険です。そして、それを生産する人たちも、不完全な検査と発表の被害者です.
私が「今の時期は少しでも放射性物質の含まれている食材は避けよう」と言っているのは、誰も「合計を計算していないからです.私はとりあえず「1.0」を加えるようにと推薦していますが、細かい計算はデータがなければできないのです。
農業、漁業関係者も被害者なのですから、もっと厳しく県に要求して、消費者が安心できるようにしてください。それには、「水、野菜、肉類、魚類、牛乳」のそれぞれについて、「基準値の0.1」を目安にしないとダメです.
子供は空気だけを吸ったり、野菜だけを食べたりしている訳ではないからです.もし、どこかの関係者が「基準値の0.1を越えると自主規制する」と宣言したら、そこからは安心して買えます。
日本中、だれも自分のことだけで、被曝している子供のことを考えないのか!!
(平成23522日 午後10時 執筆)
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武田邦彦先生に茨城県の放射能のことをきいてみました 1/2




IBARAKInetTV さんが 2011/06/10 にアップロード


中部大学教授 武田邦彦先生に茨城の放射能に関することをお訊きしました。
武田先生は、あまりにも有名なので経歴等は省略します。
この動画を見る前に必ず武田先生のブログ「厳しい問題・・・茨城産の農産物は安全か?」をお読みください。この取材はその記事を読んだのがきっかけではじまりました。


武田邦彦教授のブログより

1年20ミリの被曝の被害に、何で報いるのか?

先回、「なぜ、子供達は被曝させられるのか?」で、自然放射線に加えて「人工的な被曝」の内、医療や研究などではない、「一般の人の被曝」は「電気が欲しいので、その代わりにガンになる危険性を我慢する」という意味であることを示しました。
だから、国際放射線防護委員会(ICRP)も、
「1年1ミリシーベルトまでは、個別、具体的な利益を示さなくても良い」
としていますし、これを「我慢の限界」と表現しているのです。
つまり、1年1ミリまでの被曝の被害は、「電気を使うことができる」ということと相殺すると考えている訳です.これは世界中のコンセンサスですから、個人個人の思いと少し違うこともあります.
・・・・・・・・・
ところが、もし、「1年1ミリ」を「1年20ミリ」に上げるとすると、
1)   電気を20倍供給するか、電気代を20分の1にする、
2)   その他のメリットを政府か電力会社が提示する、
3)   それによって、ガンが1億人に5000人から10万人に増えることを認める、
というプロセスが必要で、単に「文部科学大臣が宣言したから」だけでは20ミリに上げられないのです.
これを多くの教育委員会、校長先生、自治体などが錯覚したようです.
錯覚の真なる原因は「子供は自分たちの言いなりだ。子供達に人権はない。子供達は我慢させればよい.子供達は自分の所有物だ」という傲慢な心のように私には感じられます。
今の福島で校庭で運動させたり、夏の大会を実施したりするのは、この意味では子供達を犠牲にするものです。
・・・・・・・・・
このことをICRPは、次のように表現しています.
「1年1ミリ(我慢できる限度)までは、個別・具体的利益を提示しなくても良いが、それ以上に上げる場合は、個別・具体的な利益を提示する必要がある。」
当然ですが、国民がそれだけ多くの被害を受けるのですから、それに対する「利益」が必要なのです.
すでに、「国家のために無意味に我慢する」ということを国民は強要されなくなりました。現代ではよほど野蛮な国でなければ、なんのメリットも無いのに我慢させることは出来ないのです。
事故が起こったからと言って、1年1ミリを1年20ミリにしても、電気の供給も電気代も変わらないのですから、何か別の具体的なメリットが要ります.
たとえば、膨大な費用をかけてその土地を除染し、1年後には綺麗な福島を返すとか、福島の食材を政府が全て買い上げるなどがありますが、これも「もともと原発が事故を起こさなければ起こらなかったこと」ですから、メリットになるかどうか怪しいものです。
それでは、除染した後、希望者には新築の自宅とか、自由に電力会社に入社できるとか、未来のことを提供することも考えられます.今、まだ日本で原発が動いているのですから、この議論は大切です.
これは福島ばかりではなく、東京など別の都県でも同じで、自治体の首長や役人が「1年1ミリを越えても大丈夫」と言った場合、その自治体は市民に対して「何らかのメリットに提示」を必要とします。
もちろん、1年1ミリでもガンの危険性があるのですから、それを越える環境が「安全」であるはずはないし、ICRPも「事故前の日本の放射線の専門家」もそんなことは一言も言っていないのです.
東京で1時間に0.1マイクロの測定値が出たところで、国も自治体も「安全です」などと言うのは論外で、さらに、被曝の損害に対して何もしないということは出来ないのです.
国民や市民、子供はあなたたちの所有物ではありません.
(平成23618日 午前10時 執筆)


武田邦彦
武田邦彦先生に茨城県の放射能についてきいてみました 2/2


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