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2011年8月1日月曜日

竹藪をおこして放射能線量下がった!.....けどな...。

 我が家の家の前は、道路を挟んで竹藪になっていて、冬場は早い時間帯から日陰になり、春から秋にかけては猛毒の蛇の「やまかかじ」やスズメバチがいて、前々から妻にもなんとかして欲しいといわれていたのでした。
 昨年10月に法務局に行って、地主さんの住所と電話番号を調べており、あとは地主さんに会って事情をはなし、竹藪をおこさせていただくだけになっていました。しかし、なかなか重い腰があがらず時間だけが過ぎているという中、福島原発の事故によってうちの方にも放射能が飛散している事を知り、しかも森や林や竹藪には放射能が貯まっているという話を耳にしたのでした。
 先日、ヤフオクでやっと手に入れたガイガーカウンターで、さっそく竹藪を測ってみると、竹藪の地表で0.18μSvとかなり高い数値が出ました。家のまわりは平均0.08μSvなので倍以上あることになります。家の近くの高エネルギー研究所で発表している地表1mの空間線量が、最近の数値は0.1μSvなので、それよりも高いことになります。
 あわててユンボを借りてきて竹藪をおこしはじめましたが、人が乗って操作するタイプとしては一番小さなユンボで、しかもかなり古くて調子が悪いため、1時間に1度休ませないとオーバーヒートするわ、短い竹がキャタピラーの油圧ホースに引っかかって破れるわと、ちっとも進まず、しかも竹の根は地中で全てがつながっており、それもかなり太い根っこなので、小さなユンボではなかなか歯がたたず、少しずつユンボを誤魔化しながらの地道な作業となりました。
 竹をなぎ倒し、一本一本根を切り、掘り上げながら進むと、竹藪の中にあったのは車のタイヤや毛布、自転車やドラム缶、サンダルや空き缶などの、誰かが投げ入れた沢山のゴミでした。落ちた竹の葉に埋もれて見えなかったものが、竹の根を掘り上げたために出てきたのです。
 そして、どんどん竹をなぎ倒していくと、一定の間隔で桜の木が出現しました。これも今まで、竹と竹にからまった藤蔓で見えなかったのですが、かなり老木の桜の木が何本も植えてあったのです。日が当たらないために花も咲かせることができず、それでも何本かは枯れることなくそこで静かにひっそりと生きていたようなのです。
 奥の方に水がたまっている場所があり、そこの竹の根っこを掘り起こしていると、何か小さな細かいものが、サササーと動いたのが見えました。よく目を凝らしてみると、それはなんと沢ガニだったのです。水の流れていない竹藪の水たまりに、どういうわけか沢ガニがいたのです。さっそく夏休みで家にいた息子を大声で呼んで、それからカニ取りが始まりました。すばしこいカニをなんとか捕まえ、親指大の小さいのからマッチ箱位の大きいのまで6匹つかまえました。 
 そんなこんなで、なんとか2日かけて、半分くらいの竹藪の竹を伐採しました。
 この竹藪からは、春になるとうぐいすの声や、色々な鳥と虫たちの声が聞こえてきて、私としてはとても好きな竹林でしたので、全部伐採してしまう気にはなれず、妻にも話をしてもう少しやったら伐採を止めることにしました。これでもう、うぐいすの声は聞くことができないかもしれないと思っていた次の日の朝、伐採していない竹藪の奥の方から、美しい声でうぐいすが静かに鳴き始めてくれました。
 線量を測ると、伐採前は0.18μSvあった数値が0.06μSvと、3分の1にまで下がっていました。竹や竹の葉に付着していた放射能と、地面に貯まっていた放射能を少し除去することができたのです。

 これでひと安心かな...と、捕まえたカニをながめながら、私はふと思いました。

 人間は竹藪の中にゴミを放り投げて環境を壊し、人間が造った原発から放出された放射能が、そこに貯まっているからと言って竹藪を伐採し、また自然を壊している。
 竹藪という環境は、もともと蛇や蜂やカニの住処であって、そこに住む生き物たちが人間に危害を加えるものとして嫌い、その動物たちの住処を奪っていく。
 人間はなんて自分勝手な生き物なんだろう.....。人間は人間以外の生き物、動物や植物のことを無視しながら、人間のためだけに生きている。自然を破壊し、動植物の住処を奪いながら生きている。自然との共存などと嘯いて、実は人間のエゴだけで生活を成り立たせているのではないか。
 原発のことはどうなんだ。原発を推するのも拒むのも、元をたどれば人間のエゴなのではないか?

 私は、なんだかとてもやるせなく、切ない気持ちになってしまい、この竹藪をこれ以上伐採するのは、今後もずっとやめることにしました。
 


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